s-House

竣工年 2006
所在地 東京都港区
主要用途 住宅
延床面積 177.11m2
主要構造 鉄筋コンクリート造


敷地は、東にオフィスや商業ビルが建ち並び、西には低層の家並みが密集する、街と住宅街の狭間のような場所にある。

にぎやかな表通りから静かで親密なスケールの環境にいつのまにか変化するという、この場所独特の身体的な体験を、そのまま住宅の中にも連続させていきたいと考えた。

施主の要望であったLDK+4つの個室を積み上げると3階建てのボリュームになるが、周辺からの視線や日照などの条件は、階によって大きな差がある。その違いを反映しつつ、深くこもったプライベートな場所から街中に立っているかのような開放的な場所まで、さまざまなシークエンスを建物の中に展開し、自分の好きな居場所を探して動きまわる空間を目指した。

具体的には、各部屋の平面形を歪ませくびれさせることで、それぞれの場の独立性を保ちながら、次に続く空間を期待させるような構成としている。パースが不思議な距離感と動きを生み、そこに立つ人の意識をあちこちに泳がせる効果をもたらす。また、コントラストの強い仕上げ材を、部屋ごとで切り替えずに少しずつバトンタッチしながら入れ替えていく、という操作を、形のスタディとあわせて慎重に試みた。

最終的に、いくつかのリアルな「もの」で包まれた居場所が、境界をあいまいにしながらひとかたまりとなることで、この住宅ができあがった。それら「もの」の存在感を日々どこかで意識し、反応しながら、少しずつ自分の居場所をつくりこんでいくことが、生活の楽しさや力につながるのではないかと考えている。